流星との遭遇

1時半ごろにベランダで、今日は晴れているなと星を眺めていたら、視界の端に青白い光が見えて、そのまま明るい青い光の筋が東から南の方へ流れていった。民家の屋根に落ちるように見えなくなってしまったのだが、これほどはっきりと流れ星を見たのは初めてだった。ちょうどペルセウス座流星群の極大日前だし(位置的にも)、少し早めに見れたのかもしれない。マグネシウムを含んだ流星は、青緑色に見えるそうなので、それが大気の構成の影響であの色になったのだろうか。流れ星一つ一つにも色々バリエーションがあることを思い知らされた。流れ星はもう少し速いイメージがあったのだが、光の筋の形が綺麗だったので、軌道のほぼ真横から見れた、あるいは体感時間が拡大されたのかもしれない。

 

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

 

この映画の背景には、巨大な廃墟の光景がいくつか登場する。冒頭の海の向こうに横たわる生物の遺骸のような建築物や、ソールが刑事と何度か会話をする夜の港に浮かぶ錆だらけの廃船。そこには、ユベール・ロベールの廃墟絵画のような自然の侵食はほとんどなく、人工物が雨風にさらされた時間の経過が表れている。そして、この世界の人々はみんな廃墟のような家に暮らし、廃墟のような職場で働いている。

それは、人類が免疫を得て、感染症、病への恐怖から解放されたためなのか、あるいは世代を経ることなく進化が可能となった人類の感覚の変化なのかもしれない。現代の家には、人間を外の環境から守るという役割があるが、この世界ではそれが後退して、家は廃墟となり、その代わりに人間の体の表面が外と内とを分けているように感じる。人類は痛みの感覚を失い、家の内装を変更するのと同じような感覚で、体にメスを入れ、身体改造を試していく。ソールの加速進化症候群の症状が表れているのも、体の外側ではなく、様々な機能を持った臓器だ。それらは、『君たちはどう生きるか』に登場した巨大魚の生き生きとした内臓ではなく、ごろごろとした生体部品のようでもある。

 

ブレックファスター・チェア、まるで明和電機のプロダクトが有機変化したような見た目をしていて面白い。

この映画には拳銃は登場しない。その代わりにスマートフォンを取り出すような自然さで、プラスチック製のボディに包まれたものが、凶器として使用される。ブレックファスター・チェアでの食事中に殺された人の傷口は、拳銃にしては小さいなと思ってはいたけど…。

あとこれ、絶対PG12じゃない、レーティングが加速進化してる。

 

冒頭のプラスチックのバケツを食べるシーンで、なぜか文庫本のあとがきの後ろの作品紹介欄でみた記憶がある『日本アパッチ族』のあらすじを思い出し、書店に向かうとちょうど二冊置いてあった。数年前に改版発行されていたらしい、謎のシンクロニシティ