今年も黄色いモクレンの花が咲いていた

3月はここ数年でいちばん長く感じた月だった。梅の花はいつの間にか終わっていたし、映画もあんまり見れていない。しかし、家に籠りがちないつもの自分からすれば、色々な人に出会えた月だったのかもしれない。

 

『シン•仮面ライダー

冒頭の戦闘シーンで、ライダーのパンチを受けたショッカー隊員の頭部が弾け飛んだり、グローブが隊員の血で汚れたり、などを見た時、こうした血みどろの戦いを乗り越えていく映画なのだろうか(アマゾンズのような)、と思わされたが、その後の敵との戦いのスタイルの多さには驚いた。

ライダーのマスク越しの声がくぐもっていたり、サイクロンがセーフハウスまで二人のあとをゆらゆらとついてくるカットだったり(MOTOROiDかよ…可愛いのですが)、色々と好きなシーンはある。ハチオーグ戦でのフレーム落とし加速は良かったのだけど、一号とのバトルシーンでの、テレビシリーズでも見るような空中戦や、暗闇での相変異ライダーとの戦いのCGなど、後半に向けて戦闘に厚みが無くなっていくようで少し残念だった。それでも、

「バイクは孤独を楽しめる」

と一文字が言うように、この映画では、バイクが本当に乗って楽しそうなものに描けている。

バイク映画なのかもしれない。

 

『フェイブルマンズ』

平日の深夜の回に入ったため、シートはどこも埋まっておらず、「これは初めて映画館(商業施設内の)で映画をひとりで見られるんじゃないか」と期待したけど、始まる前に『THE FIRST SLAM DUNK』の予告で一人盛り上がっていた時、他のお客さんが入ってきたので、焦り、映画館の空調の音は意外に大きい事に気づいた。

 

家族揃っての食事のシーンの終わりに、テーブルクロスごと、プラスチックの食器類や食べ残した料理をざらざらとゴミ袋に捨ててしまうカットが印象的だった。使い捨ての食器で食事をしていた家族の食卓は、時が流れるにつれて、そこに並ぶものや囲む人が様々に移り変わっていく。個人的には、主人公が何もないダイニングテーブルにつき、そこへ父親の用意した一杯のコーヒーが置かれるところが好きだ。