レンタル、リユース

よく利用していたツタヤがいつの間にか2店舗もなくなっていた。

そのうちの一つの跡地には、セカストが入ってきた。開店準備中のセカストには、巨大なバックパックやキャンプグッズがずらりとハンギングされていた。

区画整備が短期間に繰り返され、レンタル落ちコーナーがその度に拡大していたので、雑貨コーナーか何かになってしまうのだろうかと思っていたが、店舗ごと変わってしまっていた。

今のところ映画を見るには、ストリーミングに戻るということになるけど、セカストの次には、何が入るのだろうと少し考えている。

 

グランツーリスモ

 

世界各地の都市が登場する際のフォントまで再現していた(グランツーリスモ3とSPORTでしか運転したことはないけど)のは、かなりのこだわりだと感じた。ここまで脱臭され、他の都市とよく似た姿になった東京を映画で見ることは、なかなか無いかもしれない。

 

エンジンを掛けないまま、車庫から抜け出すシーンや、疾走するニスモエアインテークに舞い上がった黄色の落ち葉が張り付くカットなど、ニール・ブロムカンプの自動車の見せ方に対するこだわりを感じることのできる場面が多くある。

 

『キリエのうた』

 

冒頭、二人が歩く一面の雪の上に、鳥かごのような(回転遊具かと思ったけど、支柱がないし…)鉄のフレームが落ちたように埋もれている。

鳥かごは普通、どこかに吊り下げられているものだが、それが最初から地面に落ちてしまっている。この映画では、鳥が巣を移動していくように、キリエ(路花:ルカ)が(ロカとも読めるけど、まさかあの漫画から取ったのではあるまい。)眠る場所を転々としていくのだが、小学校の教室の窓の金網やロフトから下のベッドを金属のフレームの装飾越しに覗くシーン、ワイヤーフレームが透けたビニール傘など、内と外の世界がつながりながらも隔てられている場面がいくつも登場する。

 

路花の姉は自転車で坂を下って路花を探し、海の方へとぼとぼと歩いていた彼女に声を掛けて、振り向かせる。その時、電話で路花の姉と会話をしていたはずの夏彦は、その場に駆けつけることができず、声を届けることができなかった。路花と夏彦の再会ライブの後、あの時以来、同じ時間を共有することができなかった夏彦が、路花を見上げた時に路花の姉、希と再会したような感覚になる。このような再会の形というのもあるのか…。

流星との遭遇

1時半ごろにベランダで、今日は晴れているなと星を眺めていたら、視界の端に青白い光が見えて、そのまま明るい青い光の筋が東から南の方へ流れていった。民家の屋根に落ちるように見えなくなってしまったのだが、これほどはっきりと流れ星を見たのは初めてだった。ちょうどペルセウス座流星群の極大日前だし(位置的にも)、少し早めに見れたのかもしれない。マグネシウムを含んだ流星は、青緑色に見えるそうなので、それが大気の構成の影響であの色になったのだろうか。流れ星一つ一つにも色々バリエーションがあることを思い知らされた。流れ星はもう少し速いイメージがあったのだが、光の筋の形が綺麗だったので、軌道のほぼ真横から見れた、あるいは体感時間が拡大されたのかもしれない。

 

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

 

この映画の背景には、巨大な廃墟の光景がいくつか登場する。冒頭の海の向こうに横たわる生物の遺骸のような建築物や、ソールが刑事と何度か会話をする夜の港に浮かぶ錆だらけの廃船。そこには、ユベール・ロベールの廃墟絵画のような自然の侵食はほとんどなく、人工物が雨風にさらされた時間の経過が表れている。そして、この世界の人々はみんな廃墟のような家に暮らし、廃墟のような職場で働いている。

それは、人類が免疫を得て、感染症、病への恐怖から解放されたためなのか、あるいは世代を経ることなく進化が可能となった人類の感覚の変化なのかもしれない。現代の家には、人間を外の環境から守るという役割があるが、この世界ではそれが後退して、家は廃墟となり、その代わりに人間の体の表面が外と内とを分けているように感じる。人類は痛みの感覚を失い、家の内装を変更するのと同じような感覚で、体にメスを入れ、身体改造を試していく。ソールの加速進化症候群の症状が表れているのも、体の外側ではなく、様々な機能を持った臓器だ。それらは、『君たちはどう生きるか』に登場した巨大魚の生き生きとした内臓ではなく、ごろごろとした生体部品のようでもある。

 

ブレックファスター・チェア、まるで明和電機のプロダクトが有機変化したような見た目をしていて面白い。

この映画には拳銃は登場しない。その代わりにスマートフォンを取り出すような自然さで、プラスチック製のボディに包まれたものが、凶器として使用される。ブレックファスター・チェアでの食事中に殺された人の傷口は、拳銃にしては小さいなと思ってはいたけど…。

あとこれ、絶対PG12じゃない、レーティングが加速進化してる。

 

冒頭のプラスチックのバケツを食べるシーンで、なぜか文庫本のあとがきの後ろの作品紹介欄でみた記憶がある『日本アパッチ族』のあらすじを思い出し、書店に向かうとちょうど二冊置いてあった。数年前に改版発行されていたらしい、謎のシンクロニシティ

 

君たちはどう生きるか

相変わらずストーリーは訳が分からない。

古い城のようなお屋敷の近くにある、謎の藤森建築風の建物を入口として、ボサボサの髪をした大叔父の異世界への冒険に突入するあたりからそれは顕著になっていき、人をも食べるようになった鳥たちや魔法のような力を使う人たちの仕事も、何の為にそうなったのかは分からないまま、それぞれの繋がりは掴めそうで掴めず、状況だけが次々に出現していく。初めて映画館で観た宮崎映画が「崖の上のポニョ」だったので、その分からなさを期待してもいた。ポニョだって、床上ぎりぎりにまで迫った海水と明るい水中の庭先を泳ぐタコや木々の上を泳ぐデボン紀の巨大魚たち、といったディテールは覚えている。

「上から来ました」と眞人が言うように、どうやら地下にあると思われる大叔父が作り上げた異世界は、宮崎駿のこれまでの作品たちが溶け合った(ホルス的な要素もある)、ある種の地獄のような世界になっている。螺旋を描いて天に昇っていくワラワラというクラムボンのようなよく分からない存在だったり、それを食べるペリカン、それをワラワラもろとも焼き払う少女。この少女と眞人との同棲生活感のある朝食シーンだったり、インコの兵士を殴り倒していくカットなど、どこか見覚えのある状況もある。

冒頭の眞人が2階への急な階段を手足を使って駆け上がっていくカットなど、使いどころは最低限だけど、意外にもCGの背景が多く使われていて少しびっくりした。『毛虫のボロ』(まだ見ていないので、みたい)でのCG表現を経て、今作では監督は絵コンテの制作に専念していたという話もあり、大々的な働き方改革があったのかも知れない。

空襲で燃え上がる街のシーン(この溶け合い具合は大平晋也さんなのでは)では、火災の原因となったはずの爆撃機はあまり姿を見せず、木造住宅の窓から炎が上がっている様子など(人が亡くなる描写は直接ない)がクローズアップされて描かれる。その空襲の火災で亡くなった眞人の母親は、異世界では炎の力を持つヒミという少女として登場する。父親の工場で製造され、お屋敷の広い和室に運び込まれた戦闘機のキャノピーを見て、眞人は「美しいです」と言っている。母親の命を奪った空を飛ぶ兵器に対しての感情は、同じく空を飛ぶ青鷺にぶつけているようにも感じるが、眞人はその羽を使って矢を作ってもいるのだ。

主人公は、少年の頃の宮崎駿の分身だろうけど、異様な状況の世界に眞人をしきりに誘いこもうとしていた青鷺は、あからさまに鈴木敏夫(唯一の事前情報であったポスターにも出ていたし)。英題も『THE BOY AND THE HERON』らしいし。

blenderでメロンソーダのネオン

ゴマダラカミキリ

なぜか自転車のサドルの上に居座っていた。近年では、ツヤハダゴマダラカミキリという外来種がいくつかの県で確認されていて、通常ゴマダラカミキリが手を出さない健康な木にも穿孔するらしい。木の幹の上の方にも穴を空けるので、街路樹の枝先が途中で折れてしまったり、いきなり枝のかけらが落ちてくるということもあるかもしれない。この2種はよく似ていて、見分け方は胸の部分の一対の棘が無く、名前の通り体に光沢があるのがツヤハダ。サドルにいたのは、お馴染みのゴマダラカミキリだった。

 

なんの脈絡もないけど、夏なのでネオンサインを作る。


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グリースペンシルで描いたストロークをパスからメッシュへ変換。ベクターデータを使うよりも手で描いたものの方がネオンサイン感が断然ある。放射シェーダーにグラデーションテクスチャを使って、マッピングの回転に#frame/0.5することで、ジジジ…というネオンの細かい点滅を表現することができる。泡の表現は、かなり人力で設定したけどうまくいっている感じ。

姿かたちの移り変わり

 

いつの間にかポケモンの新作の発売から半年近く経っていた。

これまで、始めようと思っても色々とタイミングが合わず、「オメガルビー」以来冒険を始められていないのだけど、新ポケモンは順調にその数を増やし続けている。

そこで、改めてぜんこく図鑑を見返してみると、色々なデザインの移り変わりがあって面白い。カラーリングは代を重ねるにつれ、色幅が増え、3Dモデルへの移行もあり、透明感や質感を全面に押し出した姿のポケモンも登場してくる。ポケモンのもつ爪の色は、白か黒、というイメージがあったけど、最近は結構カラフルになってきているように感じる。それとも、ありがひとしさんのデザインするポケモンがカラフルなだけなのだろうか(そもそも爪が描かれたポケモンは意外と少ないのですが)。ちなみに、カラフルな爪を最初に獲得していたのは、さっと確認してみたところ、ハスブレロの赤色の爪のようだった。

すごいひさしぶりにポケモンを描く。ラゴン系のパーツは、私が待ちに待っていたステゴサウルスモチーフなのか…。

 

ゼルダの新作は、拾ったアイテムをくっつけはっつけワンダーランドして新たな武器(これはこれまでにも他のゲームで登場していた。しかし、武器の物理的性能も組み合わせに応じてしっかり変化するようだ)やモビリティを作ることができるらしい。これはすごい。ドローンや船など、レイアウト次第でかなり自由に組み立てることができるみたいだ。レゴマインドストームのように、簡単なプログラムで戦ってくれるロボット兵みたいなものも作れたら面白そう。そうしたら、敵側もドローン兵を作って……。

今年も黄色いモクレンの花が咲いていた

3月はここ数年でいちばん長く感じた月だった。梅の花はいつの間にか終わっていたし、映画もあんまり見れていない。しかし、家に籠りがちないつもの自分からすれば、色々な人に出会えた月だったのかもしれない。

 

『シン•仮面ライダー

冒頭の戦闘シーンで、ライダーのパンチを受けたショッカー隊員の頭部が弾け飛んだり、グローブが隊員の血で汚れたり、などを見た時、こうした血みどろの戦いを乗り越えていく映画なのだろうか(アマゾンズのような)、と思わされたが、その後の敵との戦いのスタイルの多さには驚いた。

ライダーのマスク越しの声がくぐもっていたり、サイクロンがセーフハウスまで二人のあとをゆらゆらとついてくるカットだったり(MOTOROiDかよ…可愛いのですが)、色々と好きなシーンはある。ハチオーグ戦でのフレーム落とし加速は良かったのだけど、一号とのバトルシーンでの、テレビシリーズでも見るような空中戦や、暗闇での相変異ライダーとの戦いのCGなど、後半に向けて戦闘に厚みが無くなっていくようで少し残念だった。それでも、

「バイクは孤独を楽しめる」

と一文字が言うように、この映画では、バイクが本当に乗って楽しそうなものに描けている。

バイク映画なのかもしれない。

 

『フェイブルマンズ』

平日の深夜の回に入ったため、シートはどこも埋まっておらず、「これは初めて映画館(商業施設内の)で映画をひとりで見られるんじゃないか」と期待したけど、始まる前に『THE FIRST SLAM DUNK』の予告で一人盛り上がっていた時、他のお客さんが入ってきたので、焦り、映画館の空調の音は意外に大きい事に気づいた。

 

家族揃っての食事のシーンの終わりに、テーブルクロスごと、プラスチックの食器類や食べ残した料理をざらざらとゴミ袋に捨ててしまうカットが印象的だった。使い捨ての食器で食事をしていた家族の食卓は、時が流れるにつれて、そこに並ぶものや囲む人が様々に移り変わっていく。個人的には、主人公が何もないダイニングテーブルにつき、そこへ父親の用意した一杯のコーヒーが置かれるところが好きだ。