『シン・ウルトラマン』

 パゴス、ネロンガガボラ、どれもボディは共通で、頭を挿げ替えただけのように見える。

という話が出てきた時に異星人の兵器としてのカイジュウという展開(『トップをねらえ!』みたいな)になるのではないかと期待したのですが、すべてはメフィラスの思惑通りだったようです。実際は、CGモデルの制作が大変になるため、三体それぞれ制作するのではなく、順番にモデルを改造していって撮影したらしい。そのことを言っていたのか。特撮の着ぐるみでも、角やトサカを付けたり、再度塗装したりして、別の怪獣や怪人が生まれたりしている。

直接的な被害や死体などはほとんど出てこない。ザラブ戦でウルトラマンが飛び回るビル群は明かりがあるものの、街には誰もいないようだし、樹海に眠る神永新二はホログラムだった。爆散シーンはあるけど。

空にうっすらと浮かび上がったゼットンをみんなが見上げるシーンがあるが、それはビルの外壁のスクリーンをみんなが同時に見上げている、こんなことが起きているんだ、くらいの肌感覚でしかなくて(ネット上でのパニックはメフィラスが消してくれたんだろう)、やっぱりこれがこの映画のリアリティの強度なんでは無いだろうかと思った。というか、長澤まさみの異様に長い登場シーケンスでの、禍威獣に対する小学生たちの反応からして、すでに宣言をしていたのかもしれないけど。でも、平成ガメラでもそんなシーンあったからなぁ、うーん。地上から見た姿の演出があったにもかかわらず、宇宙空間でのゼットンのスケール感がかなり厳しいものになっていたのは少し残念だった。変形(というより変態か)のシーンは迫力があるんだけど、近くに寄った時のディテールがないからかもしれない。